2017年 11月 16日

今、ギャグ漫画家が不足しているらしい件について

たまにはブログでも書いてみようかと思います。

~テーマ~
今日の話題は、昨今の商業漫画界で言われている「ギャグ漫画家不足」についての考察です。

~序論~
知る限り少年誌でも青年誌でも今、ギャグが描ける人が非常に足りていないそうなんですね。ちなみに僕はギャグ漫画家志望ではなかったんですが、描けるとわかったら編集者にコンバートを勧められ、いつのまにやらギャグ漫画家みたいになっております。とにかく狙い目、そんなギャグ漫画家ですが、なり手が居ない。

正確には、お笑いネタが書ける人は(十分貴重な才能ですが)結構いるんです。でも、それはツイッター漫画でよくある白ハゲキャラが面白いことをやる単なる「ネタ」であり、キャラクターとセットになったものではないんですね。商業的にこれでは何故いけないのかというと、キャラクター不在の面白さは「競争力」につながっていかないからです。お客さんは単行本を買う時、実際には「キャラグッズ」を買っているので、ネタだけいくら面白くてもタダで消費されて忘れ去られてしまいます。次々に無料で面白いものが流れてくるので、買う必要はありません。お笑いネタという品質に付加価値をつけて商売するには、キャラクターというブランドが、客のサイフをこじ開ける鍵となります。

また、二次創作などではキャラクターを考えなくていいので、これもネタが書ける人は活躍できますね。ちなみに昔の僕もそんな感じで、二次創作はできるのにオリジナル漫画が全然上手く行かなかったんですが、あるとき本を読んでキャラの大切さを知って修行して克服したものの、自分のキャラクターが作れるようになるまで、とても苦労しました。

で、こっからが本題なのですが、まあ、キャラクターを考えるっていうのが難しいのは確かですが、普通の漫画家と比べ、なんでことさらギャグ漫画家だけ少なくなっちゃうのか?っていう話です。ギャグ漫画は画力もいらないし、二次創作ギャグやツイッター漫画を描いてる人の数を考えれば、母数はかなり多いはずです。それでも少くなるには、何かの理由があるはずです。



~本論~
それは、ネタを考えられる人の性格が「基本的にネガティブ」だからじゃないのか?という風に僕は考えました。

ネタっていうのは、「いやなこと」を想像できないと作れません。犬が歩けば棒に当たるし、猿も木から落ちるし、せっかくの美少女の足が臭いとか、お笑いってのはネガティブ思考の産物なんですよね。悪いことばかり思いついたのを、無理やりポジティブに切り替えようとするとユーモアが産まれます。面白い人って、なんかピエロみたいに不自然に楽しげな人、多いでしょう…あれは本当は暗い人が頑張って明るくしてるんですよ。

普通にポジティブ思考だったら障害を乗り越え、普通に幸せになってハッピーエンドです。←普通の漫画家になる思考回路の人は、こっち。障害を演出したりはしますが、最後には主人公が打ち勝つ。ネガティブ思考のギャグ漫画家は、自嘲的に障害を受け入れて共存してしまいます。


さて、ネタを描くにはネガティブ思考が必要なことは、お分かり頂けたでしょうか。ギャグを考える才能がある人は、みんなネガティブな一面を持っています。

そして、ギャグ漫画家になるためには、お笑いネタとキャラクターの両立が必要だということは上記しました。ここで問題になるのが、「ネガティブな人はキャラクターを作るのが下手」という傾向です。

はっきりいって、ネガティブ思考はキャラクターを殺します!

ある程度、漫画を描き慣れてくるとキャラクターが勝手に動くようになるのですが、それは一種の誇大妄想というか、躁状態みたいな感じで、ネガティブ思考=鬱とは逆の、ポジティブ思考です。

否定的な事を考えないとネタは作れませんが、否定的な考え方ばかりをしていると、キャラが死にます。せっかく芽生えかけたキャラクターらしさを、作者が否定して殺してしまうのです。海賊王に俺はなる!>内乱準備罪で即逮捕wwwwとか言ってたら誰も何にもなれません。ネタが書ける人っていうのは、そういう精神世界なのです。逮捕されたら看守を倒すのがルフィですが、ギャグ思考の人は悲惨な刑務所ぐらしを想像して笑ってしまう。障害に立ち向かわず、自分(キャラクター)を殺し、気持ちにフタをするクセがある、とも言えるかもしれません。

逆に…普通のポジティブ思考で行くとひたすらマジメなキャラクターが産まれてしまうので、普通の漫画を描くには問題ないですが、ギャグ漫画のキャラにはなりません(経験談)


~結論~
というわけで、ギャグ漫画家はネガティブなのでネタが書けるが、ネガティブなのでキャラクターが描けず商業の人材が不足する、という説なのでした。

自分(キャラクター)を 可愛がり(育て)ながら 傷つける(ネタにする)というキャラクターギャグ漫画は、作家の精神状態に対して、矛盾した難しい離れ業を求めているのかもしれません。

~余談~
では、どうすればネガティブ思考を乗りこなしつつギャグキャラクターを考えられるのか?というと、まあ僕なんかが結論出すにはまだまだ修行不足なのですが…「こんな嫌な人(だけど魅力的な部分もあったりして←美少女だとか)がいたら、笑ってごまかすしかないな」というふうに、建設的なネガティブ思考をしてみるといいかもしれません。ネタな出来ごとを考えるのではなく、ネタな人物を考えるんですね。のびのびと。

もちろん同時に魅力的な部分も考えられなくてはいけないので、やはりポジティブ思考も必要になってきます。一旦、普通のストーリー漫画を書いてみるのがおすすめです。笑ってごまかすのを封印して、マジメなキャラがマジメに人生と向き合う漫画を書いてみる。そしたら、ギャグをやるときも嫌味になりすぎない、バランスのとれたキャラクターが書けるようになります。

さあこれを読んだあなたも、商業ギャグ漫画家になろう。
ショートギャグは描いたら代原すぐ載るぞ!
と、いうお話しだったとさ。

しゃど地蔵
Posted by syado at 06:08 PM | from category: マンガ論
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