公園 – しゃど地蔵尊 https://syado.muhoho.com 漫画家 しゃど地蔵公式サイト Thu, 21 Jan 2021 14:21:09 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.17 https://syado.muhoho.com/wp-content/uploads/cropped-maoudotL-1-32x32.png 公園 – しゃど地蔵尊 https://syado.muhoho.com 32 32 公園遊びのレパートリーと「ビー玉教」の話 https://syado.muhoho.com/2020/03/14/%e5%85%ac%e5%9c%92%e9%81%8a%e3%81%b3%e3%81%ae%e3%83%ac%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%81%a8%e3%80%8c%e3%83%93%e3%83%bc%e7%8e%89%e6%95%99%e3%80%8d%e3%81%ae%e8%a9%b1/ https://syado.muhoho.com/2020/03/14/%e5%85%ac%e5%9c%92%e9%81%8a%e3%81%b3%e3%81%ae%e3%83%ac%e3%83%91%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%81%a8%e3%80%8c%e3%83%93%e3%83%bc%e7%8e%89%e6%95%99%e3%80%8d%e3%81%ae%e8%a9%b1/#respond Sat, 14 Mar 2020 09:42:19 +0000 https://syado.muhoho.com/?p=6849 本日のエントリーでは、「なんか気がついたら公園で子どもと遊ぶボランティア活動家になっていた話」に引き続き、僕が子どもたちと開発した遊びの詳しいレポートと公園で発生した謎の新興宗教「ビー玉教」について語りたいと思います。

ビー玉遊びの基本

普通の「ノーマル」ビー玉を5個集めて僕のところに持ってくると「ガチャ」が回せます。ガチャを回して当たりがでるとレアなビー玉をゲットできるため、子どもたちは各種の遊びをがんばってビー玉を集めるのです。ガチャ目当てに周回をするというソシャゲーの仕組みです。

ビー玉をタダで配っていると誤解されることもあるんですけど、もしタダで配ってたら一瞬で飽きられて終わりだと思います。あくまでゲームクリアの景品なんですよね。公園を無料で遊べるゲームセンターにするというコンセプトでやっています。

じゃんけん

犬の散歩とかしてる僕を捕まえてじゃんけんを挑んで勝てば1回ガチャが回せます。ただしチャレンジできるのは1日一回まで。公園で遊ぶことにログインガチャの概念を取り入れたら面白いかなと。

また、気軽な接点を作ることで他の遊びをプレイする足がかりにもなっています。基本的に僕の方から子どもたちに声をかけるのって不審者みたいだからやらないことにしてるんです。遊びたいプレイヤーには、自分からきてもらう。そのための工夫として、じゃんけんというログインガチャに近い性質の遊びを用意しました。

さらに、「じゃんけんの権利は友達にあげられる」というシステムにしました。それによって僕に興味がない友達の権利を集めてやりにくる子がいます。でもそうして権利をパスしてると、みんなだんだん自分でやりたくなり、そのうちやりにくるんですね。客引きができないのなら、お客さんにお店を紹介してもらうっていう感じです。

宝探し

すべての基本となる遊びです。最初に始めたもので、僕が公園の草むらや木の根本などにビー玉を隠し、プレイヤーが集めるという遊び。採取狩猟生活の記憶が呼び覚まされるのか、根強いファンがいる定番コンテンツです。僕が公園にきたときリクエストに応じ、一気に隠して、「よーいどん」で集めるパターンなどもあります。

1個でノーマル5個分の価値がある虹粒というのもあり、たまに隠しているんですが子どもたちは虹粒が大好きみたいです。5個分の価値以上にレアを見つけるっていう出来事が嬉しいんでしょうね。

冬場は寒さや門限などもあり公園から子どもがいなくなるので僕も遊びを休むんですが、宝探しは犬の散歩のついでにビー玉をセットしておくだけでよく、最低一人からプレイヤーを増やしていけることから、この遊びでゲームシステムを再起動していくのが良いようです。

ただし一番お金がかかるのもこの遊びで、流行りだすとゲームのルールを知らなかったり僕に話しかけるのが恥ずかしかったりでノーマルだけ大量に持って帰る子どもが現れはじめ、新しいノーマルを補充するのに財布が苦労します。学校とかで先生が注意してくれたら助かるんですが、そこまで頼むのも申し訳ないというか…公的な支援を受けられないので辛いところですねー。

ダルマさんがころんだ

プレイ人数5人~25人くらいまで

宝探しの次に人気がある定番コンテンツ。僕が足元にセットしたビー玉をダルマさんがころんだのシステムで子どもたちが取りに来ます。1個とれたらガチャ1回、虹粒をとれたら3回回せるので一番乗りを目指してレースが白熱します。

なお、マリオカートみたいなシステムがあって1位の人は判定が厳しく、下手な幼稚園児とかは常時無敵などの救済措置をとっておりますので幅広い年齢層の子どもたちが楽しむことができるようになっています。5,6年くらいになってくると、アウトになったとき僕にごねるのを楽しみにきてるやつらがいるような気がします笑 たまにメンヘラの子とかいて、ごねるのがエスカレートして出入り禁止になることもありますが、まあ適度にじゃれる程度のワガママならそういうコミュニケーションも楽しいですね。

鬼ごっこ

プレイ人数5人~15人くらいまで

3分間サドンデス方式の鬼ごっこです。鬼は捕まえた数x1のノーマル、子は逃げ切ればノーマル2個がもらえるルール。「速歩き」もしくは全力疾走の幼稚園児など、普通に走って逃げれば捕まらない弱い鬼を数人用意し、その代わり「挟み撃ちあり」で基本的に頭脳戦で戦う鬼ごっことなります。僕も基本歩きで鬼として参加して、ゲームバランスを調整しながら時々ダッシュしてバイオハザードの「タイラント」みたいにゲームを盛り上げていきます。

場所をとるのでビー玉プレイヤーじゃない子たちが公園にいると難しくなるのと、みんな興奮するので泣く子がいたり、フィジカルの有利を封じられた高学年が欲にかられてめちゃくちゃ切れてきたりするので楽しいんだけど安定性には欠けますね。走り回るだけの普通の鬼ごっこで弱いものいじめして何が面白いのかよくわかりませんが、年上にボコられる下積みを経てきた彼らなので、そういう気持ちになるのでしょう。…そしてなぜか文句をたれる高学年が不穏分子化して普通の鬼ごっこしようと周りを誘って分派してきたりして…低学年は馬鹿だから誘われたらボコられについていくんですよね。僕は学校の先生と違って強権を持たないので、そういう事はじめるやつが現れると、ゲーム続行不可能です。

鬼ごっこは面白いですが、実行できるかどうかはその日の空気次第といったところです。

カジノ

プレイ人数3人~8人まで(スペース的に)

地面に1~6の数字を置いてビー玉を賭けます。当たったら6倍返しというシンプルなサイコロカジノ。ただ、子どもたちにとってはビー玉が全財産なんですよね。みんな人生賭けてるのでやたら盛り上がります。大金がかかっているときの緊張感は賭博黙示録カイジ。僕は班長ごっこができて楽しい。

その他、スマホアプリで対戦してみたり、アドリブでいろんなゲームをやりますが、だいたいこんなところです。

さて、次は僕が公園で一時期布教していた「ビー玉教」について。

信じるものは救われるビー玉教

ビー玉教というのは1年目のある時期に僕が考えて広めていた宗教です。「完全教祖マニュアル」に則って実践してみたら、思った以上に信者が増えてしまってビビリました。

教えは2つだけ

・いい子にする
・教祖の「魔法」を信じる

信者は魔法で出現させたビー玉がもらえます。

まあかんたんな手品の応用なんですけど、僕がまずおふざけで「魔法のペンダント」っていうのからビー玉が出せるっていう手品を子どもたちにやってたんですね。芝居をまじえてミスターマリックのように振る舞っていると、低学年は見事にひっかかって僕のことを魔法使いだと信じるようになりました。でも、そんなの高学年は信じないわけです。彼らは魔法なんて無いって知ってますからね。そこで僕は一計を案じて、不信心者に対しては、わざと手のひらなどを検査させてから「ビー玉が出てこない失敗バージョン」をやってみせて「お前が信じてないから失敗した」と言い訳することにしました。そして、信じてくれた子の目の前でビー玉を出現させ、その子に与えるようにしたのです。

信じるものは救われる、魔法のペンダント。

するとどうなったかというと、高学年や知能が高い子どもほど「信じているフリ」をするようになりました。なにしろビー玉もらえるわけですからね。本来僕のことをインチキ呼ばわりしてくるはずだった層が味方についた。そうなってくるとあとはもう、ほとんどの子どもの態度が「ビー玉教信者」になるわけですよ。

信者に囲まれてると、だんだん僕のオーラが変わってくるんですね。思考能力のないヤツと低学年などはますます信仰心を篤くし、僕はサイババのように聖者として扱われ始める。最初は信じていなかった、信じたふりをしていただけの高学年たちも「あれ?ほんとに魔法使えるの?」っていう顔をし始める。あ~、宗教ってこんな風に産まれるんだな~って思いました。教祖として振る舞うのはめっちゃ楽しかったですね。

ただ、ビー玉出してくれー!っていう信者がガチになりすぎて暴徒化しはじめ、普通の遊びに支障をきたし始めたこと、教祖を演じ続けるのに飽きたこともあり、ビー玉教は途中でやめました笑

ビー玉遊び、冬は休んでましたが、暖かくなって公園にファンの子が現れ始めたので3年目もぼちぼちやってます。1年目は教祖になったりなんだり全力投球してましたが、今は連載の支障にならないよう休み休みですね。

最後までお読み頂きありがとうございました。また機会をみて、公園で遭遇したトラブルなどについても書いていきたいと思います。

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なんか気がついたら公園で子どもと遊ぶボランティア活動家になっていた話 https://syado.muhoho.com/2019/12/03/%e3%81%aa%e3%82%93%e3%81%8b%e6%b0%97%e3%81%8c%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%9f%e3%82%89%e5%85%ac%e5%9c%92%e3%81%a7%e5%ad%90%e3%81%a9%e3%82%82%e3%81%a8%e9%81%8a%e3%81%b6%e3%83%9c%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%86/ https://syado.muhoho.com/2019/12/03/%e3%81%aa%e3%82%93%e3%81%8b%e6%b0%97%e3%81%8c%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%9f%e3%82%89%e5%85%ac%e5%9c%92%e3%81%a7%e5%ad%90%e3%81%a9%e3%82%82%e3%81%a8%e9%81%8a%e3%81%b6%e3%83%9c%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%86/#comments Tue, 03 Dec 2019 13:09:08 +0000 https://syado.muhoho.com/?p=6768 藪から棒ですが、しゃど地蔵は漫画家活動のかたわら、2018年の春頃から趣味で一日3~40分くらい夕方に子どもたちの遊びを取り仕切るという、公園ゲームマスターみたいな事をやってます。最初は個人的に仲の良い数人の子と気まぐれに遊んでみただけだったんですが、地元小学生たちの好評を博し、僕もまたリアクションの良い小学生を相手にエンターテイメントを構築するのはまるで漫画を描くのと同じように楽しく、元々凝り性なので行けるところまで本気でやってみたら気がつくとプレイヤーは30人くらいまで膨れ上がり、一日1時間半浪費していた時期もありました。さすがにしんどいので手加減をするようにし、最近は10人くらいとだけ細々と、わいわい遊んでいます。家で一人原稿ばかり描くのが仕事の僕には、良い気分転換です。

また、よその子どもたちと仲良く遊んでいると不審者扱いされてしまうので、地元の社会福祉協議会に届け出てボランティア活動家という立場を得たりといった努力もしてきました。

今回のエントリーでは、普通の在宅漫画家だったしゃど地蔵がいかにして謎のおもしろ公園おじさん…もといボランティア活動家になっていったのか、順を追ってご説明して参りましょう。

きっかけは、一袋のビー玉でした。自分が子どもの頃集めていた物です。それが戸棚の奥から出てきて、いらないから近所の子どもに上げてみたんです。僕は昼間から犬の散歩をしたりしているので、犬好きの子どもたちとコネがありました。すると子どもたちはビー玉という古典的なおもちゃを大変珍しがり、めちゃくちゃ喜んで宝物のように受け取ったのでした。

へー、今どきのキッズにはビー玉が逆にお宝なのかなぁ。そんな事を考えていたら、ふと思いつきました。残りのビー玉は、ただ上げるのだと芸がないから、宝探しごっこをやってみよう。公園の草むらや切り株にビー玉を隠して、ヒントを与えてみました。ポケモンかドラクエか、フィールドに宝があるとわくわくしますよね。それをリアルの公園で味わった子どもたちの反応は予想以上でした。あまりにもウケたので、Amazonで買い物ついでに新しくビー玉を買いました。1個5円ほどなので、まあちょっとくらいいいかな。でも、あんまりお金がかかるのは嫌だなぁ。そうだ、この珍しい柄のビー玉を「レア」ってことにして、ノーマル10個と交換ってことにしよう。これで安上がりだぞ。

と、今思えばそれが運の尽きだったのかもしれません。「公園にビー玉が隠されている」「数を集めるとレアなビー玉がもらえる」このゲームシステムの噂は地元小学生たちの間を駆け巡り、大勢の子供達が普段は閑散としている自宅近くの公園に詰めかけ、隠し作業を兼ねた犬の散歩で通りかかると隠し場所を教えてくれとせがむ子どもたちに僕は取り囲まれる事態となりました。史上空前のビー玉ブームの到来です。犬のももちゃんのお兄ちゃんを略して僕は「ももにい」とみんなに呼ばれはじめました。

人数が増えてしまってゲームシステムの維持にちょっとお金がかかるようになってしまいましたが…まあサバゲーとかやるより安いし、遊んでる人数考えたら全然コスパいいかと思って納得しました。大人の趣味ですね。

ノーマル5個で交換できる「つぶつぶ」、つぶつぶ3個の価値をもつ「金つぶ」、金つぶ3個の価値をもつ「でか粒」
レアはどんどんアップグレードされていきます。が、それだと限界があるし、あまりにも複雑化するので、インフレは一区切りし、いまどきのゲームによくあるシステムを取り入れてみることにしました。

「ガチャ」です。

でか粒1個につき1回、スマホのルーレットアプリでガチャを回せる。ガチャを回せば、いろんな珍しいビー玉が手に入る。レアを引き当てれば、Aくんはあれをもっていると噂になり、Bちゃんは別のレアを自慢する。子どもたちは集めたビー玉を握りしめ、夕方5時のガチャタイムに挑戦者がガチャを回す瞬間を、かたずを飲んで見守る。ビー玉探しは、ソシャゲーになりました。ビー玉廃人も現れ、朝の6時からビー玉を集める朝採りが問題になったので、ビー玉を集めるのは一人一日20個までと制限したりしました。

面白いことに、やがて、ビー玉が子どもたちの間で通貨のように扱われ始めました。ビー玉何個で飴玉が買えるだとか、デュエマカードが当たるガチャが引けるだとか、ビー玉遊びを土台にした別のサービス産業が生まれ始めたのでした。金本位制ならぬ、ガチャ本位制です。僕に渡せばガチャができるという安心感がビー玉の価値を裏付け、子どもたちだけの貨幣経済が出来上がったのでした。結果、先程のデュエマガチャの考案者など、実業家として頭角を表し、「ビー玉を集める」という労働をすることなく豪遊する子も出てきます。

また、ビー玉が貨幣価値を持ったことで、色々な遊びに応用ができることがわかってきました。例えば、「だるまさんがころんだ」を先着順でビー玉がゲットできる遊びにアレンジすると、賞金を目当てに白熱のレースが展開される。サイコロを使ったカジノを開店すれば、子どもたちは当たった外れたでカイジ並に喜んだり絶望したりする。古典的なビー玉をデコピンで取り合う「バトル」も真剣勝負になる。そのような純粋に楽しんでくれている姿を見るのは、僕自身とても楽しいです。

去年、大人の事情で連載が取り消されたりしてわりと暇だったので、ネームの返事待ちの暇つぶしも兼ねてこのボランティア活動に全力で取り組んでいたわけですが、さすがに毎日1時間半とか小学生と全力で遊ぶとしんどくなったので、一旦やめてしまいました。しかしももにいを求める子どもたちにせがまれるので、膨れ上がったゲームシステムを整理し、今年の春からまた、一日30分程度、負担のない範囲でゆるやかに遊べるかたちで再開。少しずつプレイヤーも入れ替わっていきましたが、現在も活動は続いています。

地元小学校とも連絡を取り合っていましたが、たまに不審者扱いの苦情が学校にくることがあるらしく、ご迷惑をおかけしてしまいましたし、僕自身何も悪いことはしていないとはいえ、万が一の身の危険を感じていました。その点に関しては、社会福祉協議会に助けを求めたら…もしかしていけるんじゃないか?と思って相談しにいってみたら、社会福祉協議会の人たちがめっちゃいい人で一定の支援が受けられるようになり、ボランティア活動家という肩書きも得て、どうにかなったっぽいです。しかし、漫画家っていう普段から編集者と色々やり取りする仕事をしてなかったらこんな営業努力っていうか政治活動家みたいな部分で心が折れてた可能性が高いですね。めんどくさいこともありますけど、子どもたちは自分で自分の権利を守るのって無理じゃないですか。僕しか子どもたちと見つけたこの遊びを守れる大人がいないので、やれるだけのことはやってます。

僕は子ども好きなので楽しんでボランティア活動に励めますし、子どもたちも喜ぶし、こういうボランティア活動家が公園にいたら、本物の不審者も現れようがないですよね。多分、子どもたちも寂しくなくなって誘拐犯についていく可能性とかも減ると思います。こういう活動もありじゃないかなー。


とあるプレイヤーの子が大事にコレクションしてくれたビー玉です。僕が作ったコンテンツに子どもたちの創造性が反応して予期せぬ結果になったり、こういうのがとても嬉しいですね。

他にも色々エピソードには事欠かないんですが、それはまたの機会に。

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