犬を放すの巻

昨日の夜中になって、突然例の黒犬が遠吠えを始めるわけです。クーンクーンアオーンアオーンって。その前の日まであれだけ弱弱しかった彼がすっかり元気になって喜んでいたら、今日になって夜鳴きです。しかも深夜3時に。
仕方なく寒くて暗い中一人で散歩にいきました。彼の赴くままついていけば、そのうち犬の家にたどり着くのではないか。そう考えつつ、夜道を1時間くらい徘徊しました。しかし、東のほうに歩いていく傾向はあるものの、どこの家にも着きません。
結局そのまま疲れて帰ってきました。
そして犬の遠吠えは止みません。
もう、だめだ…
犬を保護するという慈善活動に潜む厳しい現実に
絶望。
我ながら無責任だと思います。情けない話です。
拾って帰っておいて最後まで面倒を見きれませんでした。
朦朧とした意識の中、早朝5時ごろ、犬を繋いであった鎖から放しました。
犬はしばらくどこにもいかず、こっちの顔をちらちら伺っていました。元から飼ってるマコちゃんと同じようにぴったりと寄り添ってきたりもしました。
たった一晩泊めてやって介抱しただけで、もう仲間だと思っているのか。仕方なく別に通じるとも思えない日本語で何度か言い聞かせると…何かを悟ったのか、一匹でどこかへ歩いていき、今の今まで帰ってきていません。
おかんと口裏あわせしました。犬は”逃がした”んじゃない。鎖が外れて”逃げた”んだ…そうだ…そうに違いない…
もし子供たちが尋ねてきたらそう言おう。ごめんよ、ぼくは世間の汚い大人代表だよ。しかも職業はニートだよ。
ごめんよ

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