「傲慢」なキャラクターの面白さについて

漫画のキャラクターって傲慢なキャラほど面白くないですか?というのが今日のおはなし。

傲慢で魅力的なキャラクターたち

例えば、みんな大好きHUNTER×HUNTERのキャラクターで考えてみましょう。ゴン、キルア、クラピカ、レオリオ。みんな我が強くて、自分の主張に対して傲慢ですよね。人間ができているネテロ会長でさえ「そりゃあ悪手じゃろ蟻ンコ」とか笑ってみせたり、傲慢な表情をするときが一番面白いです。まともな人ってセンリツくらいでしょうか?でも、センリツも魔王の曲を友達と調子にのって演奏会してたら呪われたっていう傲慢さがバックストーリーとして存在しています。

とりあえずHUNTER×HUNTERで例えましたが、ジャンプ系の漫画のキャラクターはみんな自分の主張を曲げない傲慢な性格です。正義とはそういうものでしょう。「価値観なんて人それぞれですから…」みたいな感じで雲散霧消するような話は、文学的ですがエンターテイメントではない。傲慢さとは対立の原動力であり、ストーリーをストーリーたらしめる旨味調味料。一方で、キャラクターが最低の自分勝手野郎になってしまう毒でもある。彼らがもつ傲慢さを、曲げられない「信念」として美しく描きだし、あれこれ手をつくして盛り上げて、読者を「傲慢さ」に巻き込んでくれるのが読んでて楽しい漫画だと思います。もちろん逆に自己中心的な傲慢さを描くのも悪役ならばありでしょう。

傲慢さとは、執着の強さです。仏教用語で執着といえば快楽、欲望、今ある快楽を失いたくない気持ち、などを指しますが、そういう話は脳の快楽中枢に効くから面白く感じられるのかもしれませんね。

マガジン系主人公は謙虚だった

ところで、「マガジン系の主人公には自分と同格かそれ以上に強い友だちがいる」という話を以前書きました。(4大少年誌の主人公の性格の違いについて)

主人公は読者の精神状態を映す鏡です。主人公より強い仲間キャラが受け入れられるということは、マガジンを読んでいるヒトの心には、他者を尊敬してリスペクトする謙虚さを楽しむ気持ちがあるということです。

東京リベンジャーズは主人公よりマイキーのほうが強いし、進撃の巨人もリヴァイ兵長っていう強キャラがいますよね。周りの人たちが傲慢で、主人公は振り回されてる。もちろんこれも脇役が傲慢なぶん、傲慢さは面白い、という事例ですが、一方で主人公は「謙虚」でありつつ、ふりかえってみると決して魅力に欠けているわけではない。謙虚であるという人間的美徳によって、キャラクターの魅力を発揮しているのかもしれません。そういう形で作品の核となって物語を引っ張っていく主人公というのもあるんですね。

まとめ

人はメンタルが弱っていると、傲慢か、卑屈かの極端な考えにとらわれがちです。その一方で、どんな分野でも「すごい人」ってみんな卑屈ってわけでもなく自然に謙虚で、自分の改善点を常に探りつつ努力を惜しまない。心が健全な自信に満たされた、謙虚で立派な人になりたいものです。しかし…読者を夢中にさせるストーリー作りについていうならば、あえてキャラクターを傲慢にさせるのも、面白くするための方法論になると思います。

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