なんか気がついたら公園で子どもと遊ぶボランティア活動家になっていた話

藪から棒ですが、しゃど地蔵は漫画家活動のかたわら、2018年の春頃から趣味で一日3~40分くらい夕方に子どもたちの遊びを取り仕切るという、公園ゲームマスターみたいな事をやってます。最初は個人的に仲の良い数人の子と気まぐれに遊んでみただけだったんですが、地元小学生たちの好評を博し、僕もまたリアクションの良い小学生を相手にエンターテイメントを構築するのはまるで漫画を描くのと同じように楽しく、元々凝り性なので行けるところまで本気でやってみたら気がつくとプレイヤーは30人くらいまで膨れ上がり、一日1時間半浪費していた時期もありました。さすがにしんどいので手加減をするようにし、最近は10人くらいとだけ細々と、わいわい遊んでいます。家で一人原稿ばかり描くのが仕事の僕には、良い気分転換です。

また、よその子どもたちと仲良く遊んでいると不審者扱いされてしまうので、地元の社会福祉協議会に届け出てボランティア活動家という立場を得たりといった努力もしてきました。

今回のエントリーでは、普通の在宅漫画家だったしゃど地蔵がいかにして謎のおもしろ公園おじさん…もといボランティア活動家になっていったのか、順を追ってご説明して参りましょう。

きっかけは、一袋のビー玉でした。自分が子どもの頃集めていた物です。それが戸棚の奥から出てきて、いらないから近所の子どもに上げてみたんです。僕は昼間から犬の散歩をしたりしているので、犬好きの子どもたちとコネがありました。すると子どもたちはビー玉という古典的なおもちゃを大変珍しがり、めちゃくちゃ喜んで宝物のように受け取ったのでした。

へー、今どきのキッズにはビー玉が逆にお宝なのかなぁ。そんな事を考えていたら、ふと思いつきました。残りのビー玉は、ただ上げるのだと芸がないから、宝探しごっこをやってみよう。公園の草むらや切り株にビー玉を隠して、ヒントを与えてみました。ポケモンかドラクエか、フィールドに宝があるとわくわくしますよね。それをリアルの公園で味わった子どもたちの反応は予想以上でした。あまりにもウケたので、Amazonで買い物ついでに新しくビー玉を買いました。1個5円ほどなので、まあちょっとくらいいいかな。でも、あんまりお金がかかるのは嫌だなぁ。そうだ、この珍しい柄のビー玉を「レア」ってことにして、ノーマル10個と交換ってことにしよう。これで安上がりだぞ。

と、今思えばそれが運の尽きだったのかもしれません。「公園にビー玉が隠されている」「数を集めるとレアなビー玉がもらえる」このゲームシステムの噂は地元小学生たちの間を駆け巡り、大勢の子供達が普段は閑散としている自宅近くの公園に詰めかけ、隠し作業を兼ねた犬の散歩で通りかかると隠し場所を教えてくれとせがむ子どもたちに僕は取り囲まれる事態となりました。史上空前のビー玉ブームの到来です。犬のももちゃんのお兄ちゃんを略して僕は「ももにい」とみんなに呼ばれはじめました。

人数が増えてしまってゲームシステムの維持にちょっとお金がかかるようになってしまいましたが…まあサバゲーとかやるより安いし、遊んでる人数考えたら全然コスパいいかと思って納得しました。大人の趣味ですね。

ノーマル5個で交換できる「つぶつぶ」、つぶつぶ3個の価値をもつ「金つぶ」、金つぶ3個の価値をもつ「でか粒」
レアはどんどんアップグレードされていきます。が、それだと限界があるし、あまりにも複雑化するので、インフレは一区切りし、いまどきのゲームによくあるシステムを取り入れてみることにしました。

「ガチャ」です。

でか粒1個につき1回、スマホのルーレットアプリでガチャを回せる。ガチャを回せば、いろんな珍しいビー玉が手に入る。レアを引き当てれば、Aくんはあれをもっていると噂になり、Bちゃんは別のレアを自慢する。子どもたちは集めたビー玉を握りしめ、夕方5時のガチャタイムに挑戦者がガチャを回す瞬間を、かたずを飲んで見守る。ビー玉探しは、ソシャゲーになりました。ビー玉廃人も現れ、朝の6時からビー玉を集める朝採りが問題になったので、ビー玉を集めるのは一人一日20個までと制限したりしました。

面白いことに、やがて、ビー玉が子どもたちの間で通貨のように扱われ始めました。ビー玉何個で飴玉が買えるだとか、デュエマカードが当たるガチャが引けるだとか、ビー玉遊びを土台にした別のサービス産業が生まれ始めたのでした。金本位制ならぬ、ガチャ本位制です。僕に渡せばガチャができるという安心感がビー玉の価値を裏付け、子どもたちだけの貨幣経済が出来上がったのでした。結果、先程のデュエマガチャの考案者など、実業家として頭角を表し、「ビー玉を集める」という労働をすることなく豪遊する子も出てきます。

また、ビー玉が貨幣価値を持ったことで、色々な遊びに応用ができることがわかってきました。例えば、「だるまさんがころんだ」を先着順でビー玉がゲットできる遊びにアレンジすると、賞金を目当てに白熱のレースが展開される。サイコロを使ったカジノを開店すれば、子どもたちは当たった外れたでカイジ並に喜んだり絶望したりする。古典的なビー玉をデコピンで取り合う「バトル」も真剣勝負になる。そのような純粋に楽しんでくれている姿を見るのは、僕自身とても楽しいです。

去年、大人の事情で連載が取り消されたりしてわりと暇だったので、ネームの返事待ちの暇つぶしも兼ねてこのボランティア活動に全力で取り組んでいたわけですが、さすがに毎日1時間半とか小学生と全力で遊ぶとしんどくなったので、一旦やめてしまいました。しかしももにいを求める子どもたちにせがまれるので、膨れ上がったゲームシステムを整理し、今年の春からまた、一日30分程度、負担のない範囲でゆるやかに遊べるかたちで再開。少しずつプレイヤーも入れ替わっていきましたが、現在も活動は続いています。

地元小学校とも連絡を取り合っていましたが、たまに不審者扱いの苦情が学校にくることがあるらしく、ご迷惑をおかけしてしまいましたし、僕自身何も悪いことはしていないとはいえ、万が一の身の危険を感じていました。その点に関しては、社会福祉協議会に助けを求めたら…もしかしていけるんじゃないか?と思って相談しにいってみたら、社会福祉協議会の人たちがめっちゃいい人で一定の支援が受けられるようになり、ボランティア活動家という肩書きも得て、どうにかなったっぽいです。しかし、漫画家っていう普段から編集者と色々やり取りする仕事をしてなかったらこんな営業努力っていうか政治活動家みたいな部分で心が折れてた可能性が高いですね。めんどくさいこともありますけど、子どもたちは自分で自分の権利を守るのって無理じゃないですか。僕しか子どもたちと見つけたこの遊びを守れる大人がいないので、やれるだけのことはやってます。

僕は子ども好きなので楽しんでボランティア活動に励めますし、子どもたちも喜ぶし、こういうボランティア活動家が公園にいたら、本物の不審者も現れようがないですよね。多分、子どもたちも寂しくなくなって誘拐犯についていく可能性とかも減ると思います。こういう活動もありじゃないかなー。


とあるプレイヤーの子が大事にコレクションしてくれたビー玉です。僕が作ったコンテンツに子どもたちの創造性が反応して予期せぬ結果になったり、こういうのがとても嬉しいですね。

他にも色々エピソードには事欠かないんですが、それはまたの機会に。

2件のコメント

  1. ご無沙汰しています。
    当時の活動を(その後の顛末も含めて)ツイッターで拝見して爆笑したりニヤニヤしたり心配したりしていましたw
    紆余曲折を経てなんかいい感じに納まったようで安心しました。

    漫画の方も楽しみにしています。

  2. いやはや、僕自身は子どもたちと仲良くやってますし、保護者の方で応援してくれる人もいるけど、なんか自分がどういう立場で活動しているのか説明の仕方がわからなくて、記事には中々まとめられなかったんですが、社会福祉協議会に届け出るというのでやっとオチがついた感じです。社協様のおかげさまで肩の荷が下りました。

    この活動で得た経験値は漫画にもフィードバックされています。がんばりますのでよろしくお願いします~

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